音に聞く

【漢字】音に聞く
【読み】おとにきく
【意味】人伝えに聞く。噂に聞く。広く知られる。
【例文1】彼女はモデルになったと音に聞く。
【例文2】玉の輿に乗ったと音に聞く。
【例文3】SNSで音に聞く時代だ。

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「音に聞く」では通じないかもしれません

遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ。やあやあ我こそは、以下省略します。
数百年くらい昔であれば、そんな感じで名乗りを上げることもあったようです。
現代の科学技術が発達した社会では、ほとんどの重要な情報は映像と共に配信されます。
テレビならば動画で、新聞ですらカラー写真が添付される時代です。
「音に聞く」という手段だけによる情報は、精々ラジオくらいしか考えられません。
噂に上る、または有名な、という意味で使われてきた「音に聞く」ですが、現在の生活環境にはあまり適しているとは思えません。
ローカルな仲間内の話題でもチャットやSNSなどで伝えられるような世の中です。
直に面と向かい合って会話する機会と、携帯端末やパソコンから情報を仕入れるとでは、量も質も共に後者に軍配が上がりそうです。
耳で聞いただけの話は何かと根拠に乏しいように思えてならない。
しかし、さりとて完全に無視することも出来ない。
中途半端な困った情報として扱われることすらあります。
こうなると情報の発信元の人間がどれほど信用できるかという難しい問題に直面することになってしまいます。
加えて言うなら、言った言わないで後々揉め事にならないように、事あるごと録音をする人までいる始末です。
疑り深いにもほどがあるだろうと言われるかもしれませんが、安易に信じて騙された経験があればそのような気質にもなろうというものです。

今川氏真の「音に聞く」ほどの蹴鞠

「音に聞く」とは「噂に伝え聞く、有名だ、評判が高い」という意味です。昔は今のように交通手段も情報手段もなかったのですから、「音に聞く」ことが全てでした。徳川家康が人質として育てられていた今川家。今川義元は京都の公家や貴族との繋がりが強く、和歌や蹴鞠、その風習までも、わざわざ京都から先生を呼び息子の氏真に教えてもらうほどでした。桶狭間の戦いで義元が討ち死にし家督を継いだ氏真は、徳川家康や武田信玄の侵攻により命だけは助けてもらい、妻の実家の北条氏を頼ります。その後、妻の父が亡くなると、義元夫婦は北条家に居づらくなり、織田信長に庇護してもらうことにし、家宝の茶道具を信長に差し出すことで面会を許されます。信長は今川氏真が蹴鞠の名手であることを噂に聞いていて、自分が催す公家との蹴鞠会で技を披露することを求めます。氏真はもちろん了承し、公家の前で自分の蹴鞠の技を披露して信長に気に入られ、庇護を得ることに成功します。しかし、信長は本能寺の変で亡くなり、氏真は徳川家康を頼りますが、すぐに戦が始まり、今川軍は任された場所で手柄を挙げ、家康の信頼を勝ち取り配下に入り、徳川家の中で地位を高めていくのです。今川氏真の蹴鞠の技が「音に聞く」ほどであったことが、彼を助けたのです。

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