瞳を凝らす

【漢字】瞳を凝らす
【読み】ひとみをこらす
【意味】瞬きもせずジッと見つめる。
【例文1】好きな子を瞳を凝らして見つめる。
【例文2】瞳を凝らして犯人を追う。
【例文3】見逃すまいと瞳を凝らす。

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軍配に「瞳を凝らす」武田信玄

「瞳を凝らす」は「まばたきもせずにじっと見つめること」です。「瞳を凝らした」であろう瞬間をひとつあげるとすれば、川中島での武田信玄と上杉謙信の場面です。戦国時代に、甲斐の武田信玄と越後の上杉謙信が北信濃の支配権を巡っておきた戦いで何度も行われたのですが、最大の激戦となった時の地名川中島を由来に、二人の間の数々の戦いを川中島の戦いと名付けています。その4回目の戦い、1561年、川中島を包む深い霧が晴れた時、いるはずのない上杉軍が眼前に布陣しているのを見て、信玄率いる武田軍本隊は愕然としました。政虎は、猛然と武田軍に襲いかかります。武田軍は完全に裏をかかれた形になり、陣を敷いて応戦したものの、信玄の弟の武田信繁や山本勘助、諸角虎定、初鹿野忠次らが討死するなど、劣勢を強いられます。乱戦の最中、手薄となった信玄の本陣に政虎が斬り込みをかけます。『甲陽軍鑑』によると「白手拭で頭を包み、放生月毛に跨がり、名刀小豆長光を振り上げた騎馬武者が床几に座る信玄に斬りかかり、信玄は床几から立ち上がると軍配をもってこれを受け、傍に居た者が槍で騎馬武者の馬を刺すと、その場を立ち去った。後にこの武者が上杉政虎であると知った」とあります。実はこの時、武田信玄は二太刀切り付けられたつもりでいましたが、軍配をよく見ると三筋の傷がついていました。目にも見えないほどの速さで切り付けられたかと思うと「瞳を凝らして」軍配を見たに違いありません。

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