一部始終

【漢字】一部始終
【読み】いちぶしじゅう
【意味】勘違いしやすい言葉であるが、最初から終わりまで全部。一部とは書物を数える単位で一部分ではなくすべてという意味である。
【例文1】カメラでひき逃げ犯の一部始終を確認する。
【例文2】万引き犯の一部始終を目撃する。
【例文3】ドライブレコーダーが事件の一部始終を見ていた。

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「すべて」の意味なのにどうして「一部」なのか 「一部始終」の由来は?

ふだん何気なく使っている言葉も、「よく考えると、わからない」ということがあるものです。私にとって、「一部始終」がそうでした。
私の子どもが中学生だった時に、こんなことを聞かれたことがあります。
「ねえ、一部始終って『ぜんぶ』っていう意味でしょ。それなのにどうして『一部』っていうの? 一部じゃなくぜんぶなんだから、『全部始終』って言った方がいいんじゃないの?」
言われてみれば、その通りです。それまで私は、何の疑問も持たずにこの言葉を使っていました。「どうして『一部』なのか」ということを考えてみたことはありません。
「その件については、一部始終を見て知っています。」とか、「彼から、ケンカの顛末の一部始終を聞かされた」というように使われる「一部始終」。
「最初から最後まで詳しいことすべて」という意味なのですから、確かに「全部始終」と表現したほうがよさそうに思えます。
子どもに聞かれてそのとき初めて、この言葉の意味をちゃんと調べてみました。そして「なるほど」と納得したのです。
これはもともと、「一冊の本の最初から最後まで」という意味の言葉だったのだとか。本の数え方には「冊」だけでなく「部」もあります。「同じ書籍を三部用意した」というように使われますね。厚い本のことを「大部の書籍」ということもあります。
つまり、「一部始終」の「部」は、部分を指すのではなく、本の数え方だったのです。
子どものおかげで正しい知識を身に着けることができました。

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