けりを付ける

【漢字】けりを付ける
【読み】けりをつける
【意味】ようやくもめ事に決着が付く。
【例文1】離婚問題にけりを付ける。
【例文2】未解決事件にけりを付ける。
【例文3】財産分与にけりを付ける。

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蹴りつけて、けりを付けるも、なかりけり。

言うまでもありませんが、けりを付けるの「けり」は「蹴り」ではありません。
これは古文の助動詞「けり」で、短歌や和歌の結びに使われることが多かったため、決着がつく・解決するという意味になるのです。
大体にして蹴り飛ばして解決するような物事などほとんどありません。
蹴り飛ばして一時的に遠ざけたとして、問題は依然として解決することなく残り続けます。
下手をすれば蹴り付けたこと自体が新たに問題になる可能性すらあるくらいです。
キック一発で全てが解決するなどサッカーぐらいしか思いつきませんが、それとて失敗シーンのほうが連発されています。
バスケットボールと比較しみれば蹴りで得点しづらいことはよく分かるでしょう。
ゴールポストが大きいにも拘らず得点が少ないサッカーに対して、プロのバスケットボールはシュートが外れる方が少ないくらいです。
足は手よりも力は強いですが、それほど器用に物事を処理できるものではないということです。
大雑把な力任せの解決方法では問題が綺麗に片付くことなどありません。
鶴の一声で問題を封じて見せても全員が納得する至らなければ後の禍根になることすらあります。
一撃の下に問題が片付いたように見えても、細かい後片付けに苦労している誰かがいるのば何時の世にも言えることです。

「けりを付ける」の語源や由来

「けりを付ける」(けりをつける)の意味はどの方も知っていらっしゃいますよね。容易では無かった物事に対して結論を出して終わりにするという意味です。同義語として、「終止符を打つ」(しゅうしふをうつ)や「幕を引く」(まくをひく)があります。しかし、意味を知っている方は多いですが、語源や由来までは知っている方はあまりいらっしゃらないかもしれません。「けりを付ける」の語源や由来は、和歌や俳句などの古典文章から来ています。和歌や俳句は文末に助動詞の「けり」を付け、過去「~だった」というようにすることが多く、けりを付けるということは結末を迎えるということから、物事に対して結論を出して終わりにするという意味の「けりを付ける」が使われ始めました。「けりを付ける」の語源や由来を知らなかった方は多かったのではないでしょうか。慣用句やことわざのような言葉の語源や由来は面白いものが多いですよね。普段使っている慣用句やことわざの語源や由来について調べてみることも楽しいかもしれませんね。「けりを付ける」といえば、長い間片付かない問題や長年抱え込んでいる不安など沢山ある方が多いと思いますが、少しでも早くけりを付けたいものですね。

「けりを付ける」は伊勢物語の「けり」も関係しています

「けりを付ける」の「けり」とは和歌や語り物が助動詞ケリで終わることが多いことから、「物事の終わり、結末」をあらわす言葉です。ですから「けりを付ける」は「結着をつける、終結させる」という意味です。そう言われてみれば、伊勢物語も「昔、男ありけり」で始まる物語が多く、この助動詞「けり」が効果的に多用されることで、場面の緊迫感や喪失感などを演出していますね。伊勢物語はその作者すらはっきりしないという物語です。在原業平をモデルにした男の一代記であり、和歌が随所に出てくる歌物語とも評されていて、高校生の古典の教科書には必ずといっていいほど取り上げられている作品です。作者は在原業平だという説、業平の作に次男滋春が加筆したものという説、業平の作に、女流歌人の伊勢が補筆したという説、紀貫之の作という説まで多種あり、これだという根拠がないために未詳ということで通っています。「誰かタイムマシンで誰が書いているか見てきて欲しい」と夢想するほど、この物語は魅力的です。内容的には男女間の恋愛小説なのですが、一流歌人がモデルだけあって、みやびな世界が繰り広げられていて、高校の教科書で出会って終わりというには、惜しい。大人になってからのほうが楽しめる物語ですが、内容が宮廷の恋愛物という性質上、隠れてこっそり楽しむのが、平安時代から受け継がれた伊勢物語の正当な楽しみ方だと思う今日この頃です。

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